前田町会館(親鸞会初の会館)時代

真実の教えを分かりやすいマンガで

Kさん

現代は、"マンガの時代"。
難しい内容も、マンガにすると、一目で分かることがある。

親鸞会の草創期に、数多くのマンガで真実開顕に活躍した、富山県のKさんに聞いた。

20歳前から、人生に疑問を感じていました。両親も周囲も、幸せとは思えなかった。苦しみながら、会社と家を往復し、年を取って死んでいく──。「私の人生、これでいいのか」と悩んでいたのです。

『正信偈』の勤行に、仏教の尊さを感じていた私は、"もしかしたら、人生の答えがあるかもしれない"と思い、ある時、近くの寺へ出掛けました。

すると、参詣者はお年寄りばかり。若者は私だけだったので、気恥ずかしく思いながらも何回か通いました。しかし、どの布教使も、大風に灰をまいたような話しかしません。何を言いたいのか、さっぱり分かりませんでした。

勤めていた印刷会社の同僚に、60代の女性がいたので、
「お寺に行ってるんですけど、納得できない話ばかりで……。どこかにいい先生、おられませんかね」
と尋ねると、
「前田町(富山県高岡市)に、黒板に字を書いて分かりやすく話される、高森顕徹先生という若い方がおられるよ」
と教えてくれたのです。

すぐに、前田町の会館へ行きました。昭和36年10月のことです。高森先生は30代、私は20代でした。

先生は、親鸞聖人のみ教えを自信いっぱい、断言して説いてくださいました。不安げに、ぼそぼそ話す他の布教使とは大違いです。続けて聞かせていただいて、弥陀の誓願に救われた広大無辺な世界がまちがいなくあり、その身になるための人生なのだと知らされました。
"こんな素晴らしい教えを、だれも知らない"と思ったら、電車の中でも叫びたくなるほどだったんですよ。

『顕正新聞』に掲載

──昭和37年8月の『顕正新聞』にすでに、Kさんの漫画が掲載されています。

子供のころから絵が好きで、中学校の先生にも、
「何で美術の高校に行かんのや」
と言われるほどでした。しかし、絵で生計を立てるのは大変です。手に職をつけたほうがいいと思って、洋裁の専門学校に進み、絵は趣味で続けていました。

ある日のご説法で、
「自分の家が火事に遭ったら一大事、と思うでしょう。でも、火災保険で、もっと大きな家が建って、"焼け太り"ということもある。この世のことは、取り返しがつきます。
 しかし、後生の一大事は、取り返しがつきません。後生の一大事に比べたら、この世の大事は小事になってしまう。本当の一大事は、後生の一大事なのです」
と教えていただき、
「これを絵にしたい」
と、強く思いました。早速描いて、深松顧問(故人)にお見せすると、すぐに『顕正新聞』に載せてくださったのです。

それからは、聴聞して"絵で表したら分かりやすいのでは……"と感じたら、絵筆を執るようになり、次々と『顕正新聞』に掲載していただきました。

ご法話の合間に、皆で輪になって仏法讃嘆をしていた時です。控室から、高森先生が出てこられ、輪の中に入られました。

そして、
「きみたちは、ここは畳だと思っとるやろ。この畳一枚下は地獄やぞ」
と、畳をたたいて、教えてくださったのです。
「そやなあ、これは真剣に聞かんならんなあ」
と思いました。この時のお言葉も、漫画にしたんですよ。

経典の譬えを色彩豊かに

──「人間の実相」や「二河白道の譬え」の掛け軸は、どんなきっかけで描かれたのでしょうか。

私が仏縁を結んだころは、「人間の実相」も「二河白道の譬え」も、墨絵にあっさりと、淡い色を重ねた絵が使われていました。
昭和40年ごろだったと思います。「人間の実相」のご説法をお聞きして、
「まさしくこのとおりだ。ああ、こんなお話、色彩豊かな絵で描いて、皆さんに見ていただいたら、喜ばれるだろうな。この腕を、仏法のために生かしたい」
と思ったのです。

早速、絵の制作に没頭しました。特に、虎を描くのには苦労したんですよ。恐ろしい"無常"を例えられたのですから、どうしたら迫力ある虎になるか。5回、6回と描くたびに形を変えてみて、ようやく納得の行くものになったのです。
完成した絵は、高森先生を招待していた学徒のお宅のご説法で、次々と使われるようになりました。

その後、「人間の実相」の絵を見た学徒から、
「『二河白道の譬え』も描いてもらえませんか」
と言われ、挑戦しました。「火車来現」も描きました。何枚も同じものを描いたんですよ。「人間の実相」だけでも300枚以上かきながら、なかなか本心から自分のことと思えないですね……。ハッキリするまで真剣に聞かせて頂きます。

 

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