私と50周年 11

■ 浄土真宗親鸞会結成50周年

アニメの聖人に秘事から救われた

北海道 Sさん

誤りに気づけぬ秘密主義
「たのむ」の意味全く違った

浄土真宗親鸞会が今日まで、断固破り続けてきた真宗界の邪義に、念仏称えたら助かるという称名正因、死ねばだれでも極楽往生できるとする十劫安心、そして人工的に“信心”を授ける土蔵秘事(※)がある。

 北海道の中央部、滝川市で農場を経営していたSさんは、20歳のころ、友人の勧めで土蔵秘事に迷った。「『御文章』の『たのむ』と『掟』。秘事はこれを歪曲し、40年間、私はとんでもないことを信じ込まされてきたんです」

 高校時代、出場した弁論大会の演題が「信念ある人物」だった。全校生徒の前で「信念のない人間ではだめだ。自分は強い信念を持って生きたい」と志を述べた。
 卒業後、農業経営に信念を燃やす。10ヘクタールの農場にリンゴやたまねぎを栽培し、年々拡大させた。理想の農業を実現したかに見えたが、ある年、たまねぎの大暴落でたちまち経営が破綻。金の切れ目が縁の切れ目で、途端に冷淡になる人間関係に深く傷つけられた。
 若き日の理想や信念はどこかに消え、多額の負債を返すどん底の日々。10年めにようやくスタートに戻ったが、人生はとうに半ばを過ぎていた。

 果てしなく広がるたまねぎ畑で黙々と1人。「このままの人生で本当によいのか?」弥陀に救われ、極楽へ往けるつもりでいたが、不安が常に渦巻いていた。

 そのころ、知人から親鸞聖人のアニメを見せられた。全編を貫く聖人の不屈の精神、敵さえ哀れむスケールの大きさに心洗われ、毎晩、アニメを見ては涙を流した。
「こういう信念が欲しい」と思い、たどり着いたのがロイトン札幌での高森先生のご法話(平成10年)だった。
 ここで青天の霹靂のような出来事が起きる。


「これは……。絶対秘密ではなかったのか?」
 法語コーナーで目にした『親鸞聖人の教えを破壊する 土蔵秘事の実態』(親鸞会編)に釘付けとなる。

 そこには、絶対口外してはならないはずの秘法が、写真入りで公開されていた。
「読むたび血のけが引くようでした。まさか自分が土蔵秘事といわれる外道とは、思ってもみなかったですから」

 それから毎月のように、北海道から全国各地へ参詣した。聞けば聞くほど、それまで聞いていた仏法と違っていた。浄土真宗に隠さねばならぬ秘密などない。堂々と大衆の前で説き切られる高森先生のご説法こそ、本当の親鸞聖人のみ教えと確信した。

 なぜ秘事に迷ったか。Sさんは振り返る。
 友人に誘われ通い始めた当初は、四苦八苦や十悪など、基本的な法話に納得させられた。それがやがて死ねば無間地獄という話になり、感情的に後生が苦になると、助かりたければ「弥陀をたのめ」と『御文章』のご文を示される。連れていかれた在家の暗い一室で「弥陀をたのむ」儀式が行われた。それは阿弥陀仏の絵像に、何度も「後生助けたまえ」とお願いし、彼らの善知識が「よし」と言えば、弥陀をたのんだことになった。

 救われた自覚はないが、周りじゅうから「よかった、よかった」と祝福され、地獄に堕ちずに済んだとの思いから、肩の荷が下りたようなうれしさが込み上げる。
「今から思えば、周到に作り上げられた人工的な喜びで、恩徳讃の世界とは全く違うものでした」と苦笑する。
 恐ろしいのは、それを他人に言えば無間地獄より恐ろしい地獄へ堕ちると口止めされることだ。『御文章』で、「顕露に人に語るべからず」「信心は内心にたくわえよ」と掟にあるのはそのことだ、と聞かされた。

「この掟にずーっと縛られるんです。信仰に疑問が起きてもだれにも言えない。言えば“地獄”ですから」
 高森先生のご法話で、「弥陀をたのむ」とは、「お願いする」ではなく、「あて力になった」こととお聞きし、目からウロコの思いがした。

 また『御文章』の掟も、当時の権力者が真宗を弾圧し、門徒と分かれば危害を加えるおそれがあったため、蓮如上人が危険回避でおっしゃったことだと分かった。
「間違ったことを聞かされているのに、秘密を守るため、秘事の者は誤りに気づけない。だからもう救われないんです。危ないところを私は、アニメの聖人に、高森顕徹先生の説法に救われました」

※土蔵秘事……親鸞聖人の長子・善鸞が始めた邪義。儀式で信心を与え、そのことをだれにも言ってはいけないとする点に特徴がある。秘事法門ともいう。

浄土真宗親鸞会
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